Mollusk

集積所。

日記(23-07-02)

労働の後に本屋に寄った。お目当ての本を見つける。パラパラとめくり、内容を何となく把握する。家にはまだ読んでいない本がたくさんあり、その事実が購入を躊躇させる。しかし躊躇したのも束の間、本を片手に抱えながら、なぜか足がレジに向かっている。ほとんど動物的な判断。思慮に欠けた行動。我ながら極めて非合理的で愚かなことをしていると思う。

レジに並んでいると向かい側から、昔のバイト先の後輩(年下)がやってきた。向こうより先に相手の存在に気づく。それは彼がInstagramのストーリーにアップしていた(彼曰く)「ダサい」Tシャツが目についたからだ。まずダサいTシャツに目が行き、目線を上げると知り合いの顔があった。彼はAマッソの加納が書いたエッセイ本、『イルカも泳ぐわい。』を持ってレジに並ぼうとしていた。かたや僕は、川崎修の『ハンナ・アレント (講談社学術文庫)』とアレントの『責任と判断 (ちくま学芸文庫)』を手にしていた。お笑い芸人が書いたエッセイ本に対し、20世紀を代表する哲学者の著作とその思想の概説書。本の選択こそ対照的に見えるかもしれないが、彼がこちらの本に持っているであろう興味と同程度の興味を、僕も『イルカも泳ぐわい。』に対して持っている。だからこそ未だに交流が(断続的とはいえ)続いているのだろう。

会計の後、Aマッソは面白いよね、などと軽い雑談を交わした。別れ際に「また飲みに行きましょう」と言われる。それに対して「おー」と返す。社交辞令かもしれないが、社交辞令は大事だと僕は思う。