Mollusk

集積所。

日記(20-07-20)

依然東京。カプセルホテルにて8時ごろ起床。荷物をまとめてホテルを出る。ドトールでバザンの『映画とは何か』を読みながらダラダラとモーニングを食べる。

その後、東京都現代美術館で開催されているデイヴィッド・ホックニー展を見る。几帳面なまでに整然とした構図と、ウネウネとした生命力を感じさせる線によって描かれるモチーフの対比が画面に緊張感を生んでいる作品が多い印象。特に植物(主に木)が特権的なモチーフとして何度も扱われている。多分それは「線」への傾倒が要請した物だと思うけれど。理性としての「線」ではない、たどたどしい線の集積が面白い。初期作品のフランシス・ベーコン感も意外だった。空間の分解と再構成によって時間の厚みを表現したかのようなフォトコラージュもカッコ良かった。

時間が余ったので、コレクション展の方を覗くことに。日本の現代作家については詳しくないけれど刺激的な作品が多かった。篠原資明『漂流思考』の表紙に使われていたことで個人的に印象的だった、石原友明の『約束』や、サム・フランシスの大型の絵画が見られて嬉しかった。星野太の『美学のプラティクス』で論じられていた宮島達男の作品も鑑賞できた。三上晴子の作品群や、小澤剛の地蔵建立シリーズもとても好み。かなりの満足感と共に美術館を後にする。

午後からアーティゾン美術館に向かう。「抽象絵画の覚醒と展開」とは、大風呂敷を広げたテーマだと思っていたけど、流石のビッグネームが並ぶ展示に(物量で)圧倒される。クプカやオキーフの作品が生で見られたのと、ザオ・ウーキーの絵画がかなり良くて満足した。正直、午前中で疲れてしまっている上に、作品数も多いので一つ一つの作品をじっくり鑑賞できない。ヘトヘトになりながらも、現代の作品を扱った最後のフロアにたどり着く。展示のテーマに対して必要なフロアかと言うと、正直そうではない気もしたが、柴田敏雄の写真に圧倒される。作品を見た後ですぐに、写真集の情報をスマホで検索した。

この量の作品が学生は無料で鑑賞できるというのは恐ろしいことだと思う。その割に館内には人が少なかった。

東京駅に向かい、晩ご飯を食べて新幹線に乗る。本を取り出すものの、眠くていまいち読む気がしない。車窓の外を風景が流れていく。